「VSCodeでClaude AIを使いたい」
「Cursorに課金せずにAI開発したい」
「Clineって何ができるの?」
そんな疑問を持つエンジニアに向けて、Cline(クライン)の使い方を徹底解説します。
私は普段、Cursor、Claude Code、Clineを使い分けて開発をしています。その経験から、Clineの強みと弱み、実践的な活用法をお伝えします。
結論から言うと、ClineはVSCode・Cursorユーザーにとって最強のAIエージェント拡張機能です。拡張機能自体は無料で、API従量課金なので使った分だけの支払いで済みます。
この記事で分かること
- Clineとは何か、基本的な機能と特徴
- VSCode・Cursorへのインストール方法
- API設定と料金体系(2025年最新)
- 日本語での使い方と実践テクニック
- Claude Code・Cursor標準AIとの違い
- よくあるエラーと対処法
Clineとは?VSCode・Cursor対応のAIエージェント拡張機能
Clineの基本概要
Cline(クライン)は、VSCodeやCursorで動作するAIエージェント型の拡張機能です。
もともと「Claude Dev」という名前で開発されていましたが、2024年後半に「Cline」にリブランドされました。2025年に入ってから急速に人気が高まり、現在はVSCode拡張機能の中でもトップクラスのダウンロード数を誇ります。
Clineの基本情報:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応エディタ | VSCode、Cursor、その他VS Code系エディタ |
| 対応AIモデル | Claude、GPT-4、GPT-4o、Gemini、ローカルLLM |
| 料金 | 拡張機能自体は完全無料(APIは従量課金) |
| 開発元 | Cline Bot Inc.(オープンソース) |
| GitHub Stars | 30,000+ (2025年12月時点) |
Clineでできること【5つの主要機能】
Clineは単なるコード補完ツールではありません。自律的に開発タスクをこなすAIエージェントとして設計されています。
1. コード生成・修正
自然言語で指示するだけで、コードを生成・修正してくれます。
Reactでユーザー登録フォームを作成して。
メールアドレスとパスワードのバリデーション付きで。
2. ファイル操作
ファイルの作成・編集・削除・リネームを自動で実行します。
- 新規ファイルの作成
- 既存ファイルの編集
- 複数ファイルの一括修正
- ディレクトリ構造の変更
3. ターミナル操作
コマンドの実行、パッケージのインストール、エラーの自動修正まで行います。
npm installを実行して、エラーがあれば修正して
4. プロジェクト理解
コードベース全体を読み取って文脈を理解します。既存のコーディングスタイルや設計パターンを把握した上で、一貫性のあるコードを生成してくれます。
5. Browser Use機能
2024年末に追加された新機能で、ブラウザを操作してWebサイトの情報を取得できます。
- Webサイトのスクレイピング
- UIテストの自動化
- 画面キャプチャの取得
Clineのインストール方法【VSCode・Cursor共通】
ステップ1: 拡張機能をインストール
VSCodeまたはCursorで以下の手順でインストールします。
インストール手順:
- VSCode/Cursorを開く
- 拡張機能パネルを開く
- Mac:
Cmd + Shift + X - Windows:
Ctrl + Shift + X
- Mac:
- 検索ボックスに**「Cline」**と入力
- 「Cline」(作者: Cline Bot Inc.)を選択
- **「Install」**ボタンをクリック
注意: 類似名の拡張機能が複数存在します。必ず**公式(Cline Bot Inc.)**を選んでください。アイコンは緑色のロボットマークです。
ステップ2: APIキーを設定
Clineを使うには、AIモデルのAPIキーが必要です。ここではClaude APIの設定方法を解説します。
Claude APIキーの取得手順:
- Anthropic Consoleにアクセス
- アカウントを作成(またはログイン)
- 左メニューの「API Keys」をクリック
- 「Create Key」で新しいキーを生成
- 生成されたキーをコピー
Clineへの設定手順:
- VSCode/CursorのサイドバーでClineアイコンをクリック
- 画面上部の**Settings(⚙️アイコン)**を開く
- API Providerで「Anthropic」を選択
- API Key欄にコピーしたキーを貼り付け
- Modelで使用するモデルを選択
- おすすめ:
claude-sonnet-4-20250514
- おすすめ:
ステップ3: 動作確認
設定が完了したら、簡単なテストで動作を確認しましょう。
テスト方法:
- Clineパネルで以下を入力:
Hello Worldを表示するPythonスクリプトを作成して - Clineがファイル作成の許可を求めてくる
- 「Allow」をクリック
hello.pyなどのファイルが作成されれば成功
Clineの料金体系【2025年最新版】
Cline拡張機能は完全無料
Cline自体は完全無料です。オープンソースで開発されており、VSCode/Cursorのマーケットプレイスから無料でインストールできます。
APIは従量課金制
ただし、AIモデルのAPI利用料は別途発生します。これはClineではなく、各AIプロバイダー(Anthropic、OpenAIなど)に支払う料金です。
Claude API料金(2025年12月時点):
| モデル | 入力(100万トークン) | 出力(100万トークン) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Claude Haiku 3.5 | $0.80 | $4 | 高速・低コスト |
| Claude Sonnet 4 | $3 | $15 | バランス型(推奨) |
| Claude Opus 4 | $15 | $75 | 最高性能 |
月額コストの目安:
- ライトユーザー(1日30分程度): 月$5〜10
- ヘビーユーザー(1日2〜3時間): 月$20〜50
- プロフェッショナル(終日使用): 月$50〜100+
無料で使う方法
コストを抑えたい・完全無料で試したい場合の選択肢:
- Anthropic新規登録ボーナス: $5分の無料クレジット付与
- OpenRouter経由: 一部無料モデルが利用可能
- ローカルLLM: Ollama + Code Llamaなどを使用
- Google AI Studio: Gemini APIの無料枠を活用
Clineの日本語設定と基本的な使い方
日本語で使う方法
Clineはデフォルトで日本語に完全対応しています。特別な設定は不要で、日本語で指示を出せば日本語で回答が返ってきます。
日本語で指示する例:
ユーザー登録機能をNext.js App Routerで実装してください。
要件:
- メールアドレスとパスワードで登録
- パスワードは8文字以上、英数字必須
- 登録成功時はダッシュボードにリダイレクト
- エラー時は適切なメッセージを表示
基本的な操作フロー
1. チャットで指示を出す
Clineパネルのテキストエリアに、やりたいことを自然言語で入力します。
2. 提案を確認する
Clineは実行前に、何をするか説明してくれます。ファイルの作成・編集・コマンド実行など、各アクションの許可を求めてきます。
3. 許可または拒否する
- Allow: その操作を許可
- Deny: その操作を拒否
- Allow All: 以降の操作をすべて許可(注意が必要)
4. 結果を確認する
実行後、Clineは結果を報告してくれます。エラーがあれば自動で修正を試みることもあります。
Auto-approveモード
頻繁に許可を求められるのが面倒な場合、自動承認モードを設定できます。
設定方法:
- Cline Settings を開く
- 「Auto-approve」セクションを探す
- 許可する操作にチェックを入れる
- Read files: ファイル読み取り
- Write files: ファイル書き込み
- Execute commands: コマンド実行
警告: Auto-approveは便利ですが、予期せぬファイル削除やシステムコマンド実行のリスクがあります。慣れるまでは手動承認をおすすめします。
ClineとClaude Code・Cursorの違い【徹底比較】
Cline vs Claude Code
同じClaudeを使うツールでも、ClineとClaude Codeは大きく異なります。
| 比較項目 | Cline | Claude Code |
|---|---|---|
| 動作環境 | VSCode/Cursor拡張機能 | ターミナルCLI |
| 料金体系 | API従量課金 | Max/Pro契約必須(月$20〜$100) |
| 対応モデル | Claude、GPT、Geminiなど | Claudeのみ |
| 操作方法 | GUI(グラフィカル) | CUI(コマンドライン) |
| カスタマイズ性 | 高い(設定で柔軟に) | 限定的 |
| 公式サポート | コミュニティ主導 | Anthropic公式 |
使い分けの目安:
- Cline向き: VSCode/Cursorユーザー、複数AI試したい、コスト重視
- Claude Code向き: ターミナル派、公式サポート重視、Max契約済み
Cline vs Cursor標準AI
CursorにもAI機能が標準搭載されていますが、Clineを追加するメリットがあります。
| 比較項目 | Cursor標準AI | Cline |
|---|---|---|
| 料金 | 月額$20(Pro必須) | API従量課金 |
| モデル選択 | 限定的 | 完全に自由 |
| エージェント機能 | 基本的 | 高度(Browser Useなど) |
| 最新モデル対応 | 遅れることがある | 即日対応可能 |
Clineを追加すべきケース:
- 最新のClaude Sonnet 4をすぐ使いたい
- 月額固定より従量課金で使用量を抑えたい
- Browser Use機能を活用したい
- Cursor Pro未契約だがAI機能を使いたい
Cline活用の実践テクニック【5つのコツ】
コツ1: 具体的かつ詳細に指示する
Clineは指示が具体的なほど、期待通りの結果を出してくれます。
悪い例:
ログイン機能を作って
良い例:
Next.js 14 App Routerでログイン機能を実装してください。
技術スタック:
- 認証: NextAuth.js v5
- DB: PostgreSQL + Prisma
- UI: Tailwind CSS + shadcn/ui
要件:
- メールアドレス/パスワード認証
- パスワードは8文字以上、大文字小文字数字を含む
- ログイン失敗時は具体的なエラーメッセージ
- セッションの有効期限は7日
- Remember Me機能
コツ2: @ファイル参照を活用する
既存ファイルを参照させると、プロジェクトの一貫性が保たれます。
使用例:
@src/components/Button.tsx のスタイルを参考に、
同じデザインシステムでInputコンポーネントを作成して
参照できるもの:
@ファイル名: 特定のファイル@フォルダ名: フォルダ内の全ファイル@workspace: ワークスペース全体
コツ3: 段階的にタスクを進める
大きな機能は一度に作らず、段階的に分割しましょう。
良いアプローチ:
- 「まずディレクトリ構造とファイル構成を提案して」
- 「次にデータモデル(型定義)を作成して」
- 「バックエンドのAPIエンドポイントを実装して」
- 「フロントエンドのUIコンポーネントを作成して」
- 「最後にテストコードを追加して」
コツ4: モデルを使い分ける
タスクの複雑さに応じて、モデルを切り替えるとコスト効率が良くなります。
| タスク | おすすめモデル |
|---|---|
| 単純なコード生成 | Claude Haiku 3.5 |
| 一般的な開発作業 | Claude Sonnet 4 |
| 複雑な設計・リファクタリング | Claude Opus 4 |
切り替え方法:
Cline Settings → Model で随時変更可能
コツ5: プロジェクトルールを設定する
.clinerulesファイルをプロジェクトルートに置くと、プロジェクト固有のルールをClineに教えられます。
例: .clinerules
このプロジェクトはNext.js 14 App Routerを使用しています。
- コンポーネントは src/components/ に配置
- スタイルはTailwind CSSを使用
- 型定義はTypeScriptの厳格モードで
- コメントは日本語で記述
- テストはVitest + Testing Libraryを使用
Clineのよくあるエラーと対処法
エラー1: API Key Invalid
症状: 「Invalid API Key」「Unauthorized」などのエラー
原因:
- APIキーが間違っている
- キーの有効期限切れ
- キーに十分な権限がない
対処法:
- Anthropic Consoleでキーを再確認
- 新しいキーを生成して再設定
- キーの権限(スコープ)を確認
エラー2: Rate Limit Exceeded
症状: 「Rate limit exceeded」「Too many requests」
原因: 短時間に大量のリクエストを送信
対処法:
- 数分待ってから再試行
- より軽いモデル(Haiku)に一時的に切り替え
- Anthropic ConsoleでTier(利用上限)を確認・引き上げ
エラー3: ファイル操作の失敗
症状: 「Cannot write file」「Permission denied」
原因:
- ワークスペース外のファイルを操作しようとした
- ファイルが読み取り専用
- パスが不正
対処法:
- ワークスペースフォルダ内のファイルか確認
- ファイルの権限を確認(Mac:
ls -la) - VSCode/Cursorを管理者権限で実行(Windows)
エラー4: 応答が途中で切れる
症状: Clineの応答が不完全で終わる
原因: 出力トークン数の上限に達した
対処法:
- 「続けて」と入力して続きを生成させる
- タスクをより小さく分割して指示
- Max Tokensの設定値を確認
まとめ: ClineでAI開発の新時代へ
ClineはVSCode・Cursorで使える最強のAIエージェント拡張機能です。
Clineのメリット
- 無料: 拡張機能自体は完全無料
- 柔軟: Claude、GPT、Geminiなど複数AIに対応
- 高機能: ファイル操作・ターミナル・Browser Useまで
- コスト効率: API従量課金で使った分だけ
- カスタマイズ: プロジェクトルールで細かく制御可能
始め方3ステップ
- インストール: VSCode/CursorでCline拡張機能を追加
- API設定: Anthropic ConsoleでAPIキーを取得・設定
- 実践: 日本語で指示を出して開発開始
こんな人におすすめ
- VSCode/Cursorをメインエディタとして使っている
- Cursor Proに課金せずにAI開発したい
- 複数のAIモデルを試してみたい
- API従量課金でコストを最適化したい
まずはAnthropicの無料クレジット($5)で試してみてください。 その威力を実感したら、もう手放せなくなるはずです。
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